北九州 まなびとキャンパス"

レポート

北九州まなびとESDステーションでは、まちなかで様々な活動が行われています。
ここでは、それらの活動のレポートを更新していきます。

【まなびとボイス】大学訪問編Vol.1 八木 健太郎さん(西日本工業大学 デザイン学部建築学科准教授)

学生が社会で働く方々に取材を行なう「まなびとボイス」。
今回から、まなびとボイス番外編《大学訪問編》のスタートです。
北九州の10大学を巡り、学生にとって身近な先生方から普段は聞けない、働くって何だろう?社会人として、教師として、どんなことを考えているのだろう?ということを知る活動です。


私たち、まなびと広報プロジェクトはまなびとボイス大学訪問編の記念すべき第1回目として、西日本工業大学デザイン学部建築学科准教授の八木健太郎先生へ取材に行ってきました!

博士の学位を持ち、学校外では社会貢献として北九州景観アドバイザーや環境芸術学会理事などで活躍もされている八木先生は、ミステリアスな印象を持ちつつも、 多くの学生からは“実際に話をしてみると、時々冗談を入れたり、親身になって話を聞いてくれるので相談にも乗りやすい”などと、慕われているようです。
そんな八木先生は実際どのような想いで学生に接し、教育という仕事をされているのでしょうか?八木先生が考える「はたらく」とはいったいどのようなものなのでしょうか?
今回の取材で聞いてみました!

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“教育とは学生の手助け”

学生の頃、アメリカに憧れを持ち日本には戻らないつもりで留学をしてヨーロッパでも学んだそうです。しかし、現地で理想と現実の差や母国であるはずの日本のことをあまりに知らない自分にショックを受けて日本の大学に戻ったそうです。そして、博士課程まで進み、当時の身の回りの環境を変えるためということもあって西日本工業大学に応募したそうです。八木先生は西日本工業大学に来られたことは運であり、まためぐり合わせであったと話してくださいました。
「(授業で色々なことを教えていますが、)私自身は、“教育している”とか“何かを教えている”と思ってやっているわけじゃなくて、どちらかと言うと“学生の手助けをする”ことが自分の役割だと思っています。いろんな学生がいるし、考え方は人それぞれであり対応も人それぞれなので。学ぶべき知識を持って卒業してくれたらいいし、いろんなことに挑戦してほしい。やったことはいつかなんらかの形で必ず役に立つと思いますし、やらなかったら何も起こらないだけだと思います。」
八木先生の仰る通り、確かに世の中にはいろんな人がいます。それは学生でも同じことで人それぞれの形がある、ということにすごく共感しました。
「教育と思ってやっている訳ではない。」この言葉はすごくさっぱりしていたのですが、学生の目線に立って自分の持っている知識を教えることで共に学んでいく、私は八木先生の学生を想う気持ちを強く感じました。

“学ぶ楽しさを知ってほしい”

人に流されず自分の中に信念という太い芯のある八木先生でも教師になって初めての講義は心配や不安でドアを開ける手が震えるほど緊張していたそうです。最初の頃は、生徒の態度や反応に怒ったりしていたようです。しかしそういったことも気にならなくなり、今では毎年学年ごとにそれぞれの色があり反応が違う中で、生徒が「学ぶ楽しさに気付いてくれた瞬間」や「やる気になった瞬間」など学生の変化に出会った時が、とても嬉しいそうです。

「教育に関しては苦労した、と思ったことはない。」そう断言された八木先生には、学生の変化に出会った時や、そうなってくれるように心の中で願っているから、教えることも講義の準備も楽しんでいて、やりがいを感じているのではないかと思いました。その瞬間を思い出しながら嬉しそうに話してくださった八木先生の姿を見て、私も自分が本当に心から楽しいと思って、大変な仕事でもやりがいを感じることのできる仕事を見つけたいと強く思いました。

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“大切なのは行動し経験すること”

「“今の若者は…”という言葉は昔からいつの時代も言われ続けていますよね。就活することや就職してからの社会は今も昔も変わらず大変だけど、時代が流れるにつれて、まず就職することが今の時代は本当に難しくて、さらに若者にはやりたいことを仕事にすることも難しい。そういう時代や社会の変化を無視して、今の若者はダメだというような話はアンフェアだと思います。」
と、今の若者の働くことについて話してくださいました。
そして、そんな社会にこれから進んでいく私たち学生はどうしたらいいと思いますか、と尋ねると、
「自分の置かれている環境が悪いと思っているなら環境がいいところや自分に合っているところに飛び込んでみるのもありだと思います。だから変に躊躇せず海外にもどんどん行けばいいと思います。行った先で自分の中に何かを見つけることもあるでしょうし、僕も九州に来たことで周りの環境も自分自身も大きく変わりましたから。」
と話してくださいました。いろんな世界を自分の目で見て理想と現実の差を肌で感じてきた八木先生ならではの答えであり、すごく説得力がありました。
それから「積極的に行動することが大切」とも仰っていました。
高校までの数学などの勉強のように答えがある問題に慣れている大学生の私たちには、これから社会人になることの悩みや、自分たちの取り組む活動の障害など、答えのない問題に対して戸惑い、抵抗があることがしばしばあります。それはやはり、どうしても社会人の方々とは経験の差がかけ離れているからだと思います。その抵抗を持ったままなかなか前に進むことのできない学生、行動することができない学生もたくさんいると思います。八木先生もそのように感じているようで、今の日本の受験の形ではその連鎖は変わらないとも仰っていました。

“これから先の『教師』のあり方とは?”

私達まなびとの合言葉である「ESD」“未来づくり(持続可能な発展)のための教育”。この合言葉にちなんで、こんな現状の社会で、これから先の教師のあるべき姿とは何か伺いました。
「昔からそうだったので、これからもずっとそうだと思っているのですが、 “答えのない問題の答えを探る意味を伝える”ことだと思いますね。まあ、それが難しいわけですけれども。」
教育に対して囚われた考えをあまり持たず、それぞれの学生にそれぞれの答えに向かう手助けをするのは、答えのない“建築”という分野をされているからこそなのかもしれません。

今回の取材で初めて教師の方から教育についてのお話を深くお聞きました。これから社会に出ていく私たちにとって“自分らしく働くことで生きていくこと”とは? について深く考えるきっかけになりました。まなびとESDステーションで活動し学んでいること、学校で学んでいることを活かして自分の仕事に誇りを持って働く大人になれるように頑張りたいと思います!

集合写真
(取材:古賀加純・天野由美子 撮影:林栞)




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八木 健太郎さん

(西日本工業大学 デザイン学部建築学科准教授)
1973年東京生まれ。
神戸大学を卒業後、ワシントン大学、ローマで建築・アートを学ぶ。
2002年より西日本工業大学勤務。
●環境芸術学会 理事
●北九州市景観アドバイザー
●行橋市景観審議会 委員
●みやこ町都市計画審議会 委員