北九州 まなびとキャンパス"

レポート

北九州まなびとESDステーションでは、まちなかで様々な活動が行われています。
ここでは、それらの活動のレポートを更新していきます。

【まなびとボイス】大学訪問編Vol.2 眞鍋 和博さん(北九州市立大学 地域創生学群 学群長)

学生が社会で働く方々に取材を行なう「まなびとボイス」。
今回から、まなびとボイス番外編《大学訪問編》のスタートです。
北九州の10大学を巡り、学生にとって身近な先生方から普段は聞けない、働くって何だろう?社会人として、教師として、どんなことを考えているのだろう?ということを知る活動です。





10月3日私達まなびと広報プロジェクトは、まなびとボイス大学訪問編の第二弾として、北九州市立大学地域創生学群学群長である眞鍋和博先生をお訪ねしました。

大学教授であり、まなびとESDステーションの発起人でもある眞鍋先生は、北九州市立大学(以下、北九大)の学生のみならず多くの学生にも親しまれています。そんな眞鍋先生が考える社会人としての“はたらく”ことについて取材させていただきました。


眞鍋先生4

“実践的な学びこそが重要”

教員として“はたらく”ことを選択した理由について眞鍋先生に尋ねたところ、以前の職場で大学生のキャリア開発プログラムに携わっていた際に、大学で学ぶ教養と企業が求める教養のミスマッチを感じたことが大きなキッカケになったとおっしゃいました。
「座学だけを学ぶような大学の教育に先はあるのか?」という問題意識の芽生えから、机の上以外の学びも重要と考えた眞鍋先生は、仕事で学生アルバイトを使用した際に「実現のためにはどうしたら良いか」を学生自身に考えさせながら取り組ませたことがありました。
結果、具体的な指示を下していた時よりも学生は遥かに生き生きと仕事をこなし、パフォーマンスも向上したことから、実践的な学びこそ大学教育の中に必要であると強く感じるようになったそうです。
ただ教えてもらう事だけが学びではないという事、学生が主体的に動くことで必要なことに自ら気づき、そこから新たに学んでいく事こそが成長に繋がるのだと思いました。

“ESD=人づくり”

現在北九州市は高齢化や治安、人口流出などの様々な課題を抱えています。
地域の抱える多様な問題に対し、若者たちが積極的に関わり解決することができれば「地域の活性化」「学生の成長」という、両者にとって素敵な成果が得られるのではないか?
この発想から「実践的な学び」をテーマに北九大でプロジェクトを起こした事が、地域×学生の始まりであると真鍋先生はおっしゃいました。そうして出会ったのがESDです。
※ESDとは、「持続可能な開発のための教育」のことです。 

「最初はESDという言葉さえ知りませんでした。けれど調べていくうちに、環境だけに留まらない幅広い分野があると知りました。発展のための教育、ESDはまさに人づくりです。北九大のみで取り組むのはもったいない!」
ESDに人づくりの可能性を見出した眞鍋先生。もっと多くの人と学びを共有したい、広めたいという想いによってつくられたのが、北九州10大学連携のまなびとESDステーション設立の始まりです。

取材風景1

“社会人である以上、プロフェッショナル”

地域活性化のため、学生の成長のために日々尽力されている眞鍋先生は、大学時代どのような学生だったのでしょうか。伺いました。
「とにかくアルバイトをしていました。色々な世界を知りたくて。」
社会を知るための手段としてアルバイトを選択した眞鍋先生は、4年間の大学生活の間に124もの職種を経験したそうです。
学生時代に数多くの職種を経験した真鍋先生に、アルバイトと社会人の仕事の大きな違いについて尋ねました。
「やはり責任の重さですね。社会人である以上は新人であっても、ある領域に関しては基本的に答えられないことがあってはいけません。できないことに挑戦し、成果を挙げなくてはならないのです。
自分の持っている価値を賃金に換えて、社会にもその成果を還元していくのがプロなのではないかと思います。」
限られた期間の中で自分なりのテーマを決めて取り組み、達成する事は学生時代に関わらず大切な経験となるのではないのでしょうか。そしてその経験が将来、様々な課題に挑戦していく力になるのではと思いました。

“これからの教員の役割って?”

「ただ上から知識を与えるだけの教育は、オンラインに取って代われます。情報量だけを言えば、グーグル先生の方が圧倒的に豊富ですからね。」
検索エンジン「Google」を“先生”と呼ぶ眞鍋先生。「ググる」という動詞が辞書に載るようになった今、学生にとっては特に馴染んだ言葉に感じます。
では、オンラインにできないこととは一体何でしょうか。私達まなびとの合言葉でもある“ESD(持続可能な開発のための教育)”にちなんで、これからの教員の担うべき役割とは何か尋ねました。
単なる知識の伝達でなく、実践的に学生たちが成長する機会を設けることです。
これからの大学教育のあり方は、社会で必要な力を実践しながら身につけていくことだと思っています。
そして機会を提供して、学生の成長を促すことこそが(オンラインに代わることのない)今後の教員としての役割ではないかと思います。」

最後に、“先生”として心がけていることについて伺いました。
「一つは、教員としての仕事を断らないこと。」
自身の専門かどうかに関わらず、学生が成長するテーマであれば、眞鍋先生は積極的に受け入れようと心掛けているそうです。
自分ができるかできないかではなく、学生の成長を第一に考える眞鍋先生のプロとしての意識の高さを感じました。

「もう一つは、卒業する頃には学生を自分よりも優秀な人材に育て社会に送り出すことです。」
私達はこの言葉を耳にした時、大変驚きました。卒業までの4年間で、眞鍋先生を超えることなどできるのでしょうか?
「もちろん社会人としての経験の差を考えれば、全体的に超えるというのは難しいかもしれません。けれど、ある分野に関しては自分よりも特化しているように育てたいと思っています。
新しい世の中を創る人は自分よりも優秀でないと、世の中は発展しません。自分よりできる人間を育てることはとても大切なことだと思います。」
個々の強みを見出して伸ばし、また学生自身がその強みを自身の武器と認識して社会で活躍できるよう手助けすることを目標にしていることが伺えました。

今回の取材で、大学の先生の教育に対する熱い想いに触れることができました。また、アルバイトと社会人としての“はたらく”ことの違い、プロ意識について考える機会をいただきました。
積み重ねてきた数々の経験は、こらからの社会で生きる力に強く結びついていくこととなります。そのつながりをより強固なものにするためには、積極的に自分の知らない世界に飛び込み、実践的に学びながら日々を精一杯充実させていくことが重要だと感じました。
取材の中で頻繁に耳にした「実践力」という言葉は、その名の通り自ら実践することでしか得ることのできない力です。失敗を恐れて成長する機会を逃してしまうよりも、自身の限界に挑戦し、多くのまなびを体感して成長することの大切さを、今回知ることができました。


集合
(取材:田中佑依、古賀加純 撮影:林栞)






眞鍋先生1

眞鍋 和博さん

(北九州市立大学地域創生学群教授)
1970年北九州市八幡東区生まれ
熊本大学を卒業後、1992年、(株)リクルート入社
2006年、転職し北九州市立大学へ勤務と同時に九州大学大学院に進学

●北九州市立大学地域創生学群学群長
●地域共生教育センター(4.21lab)センター長
●北九州まなびとESDステーション事業責任者