北九州 まなびとキャンパス"

夢リレー

株式会社 芳野ケアサポート リハビリステーション おあしす センター長 藤本 隆 さん

Profile
1984年 北九州生まれ
専門学校卒業後、病院に5年間勤めて経験を積み、専門知識を身につける。
現在、独立する目標に向けてさらに経験を積むため、リハビリの技術だけでなく、経営的視点も求められるリハビリステーションのセンター長を務める。

【大切にしていること】“義理”と“人情”

目の前のことに一生懸命に取り組むことで未来は拓ける

今、目の前にあることや与えられた役割に、自分が出せる100%の力で取り組んでいれば、自分を信じる力が湧いてきて必ず成果が出て、自分自身も成長していける。そして何かを達成した先には、また新しい「やりたいこと」が現れる。

現在 利用者さんが主体的に自分らしい人生を歩んでいく姿を見たい

藤本さんがセンター長を務めるリハビリステーションおあしすは、約130人の方々が利用するデイサービス。自分らしい生活をするために今より元気になってもらうことを目的に運営されている。一般の施設は女性比率が高いが、おあしすの利用者は男女が半々、男性の割合が高いのが特徴だ。男性比率が高い理由は、利用者の方々にとっては、リハビリを通して人と交流することができるサークルのような場であることと、スポーツジムのようにとにかくより元気な体にしていくプログラムにある。「リハビリは”してあげる”ではなく”自分でできる”を増やしていくことが大切なんです」と藤本さんは言う。健康寿命を延ばすために利用者の人生に寄り添うことが藤本さんの作業療法士としてのスタンス。

元々携帯電話のショップだったところを改装したおあしす。藤本さんはその設計段階から関わっている。「できることを増やす」ことを実現するためのアイデアが随所に見られる。利用者が自宅にいる時と同じような環境にするために、靴を脱いで上がる設計になっている。プログラムは、体の機能の程度に差がある利用者全員が参加できるように工夫が施され、一人一人にスタッフが心を込めて接することができる雰囲気が醸成されている。藤本さんのこだわりの詰まった環境で過ごすおあしすの利用者の方々には、会話や笑顔が絶えない。「最初はジャージで来ていたおばあちゃんが、だんだんおしゃれをして通ってくれるようになるんですよ。おあしすを利用していただくことで、限られた人生の時間をただ過ごすのではなく、自分の人生を楽しみたいという気持ちが芽生えていくことが喜びです」と藤本さんは言う。

高校時代 2つのきっかけ

「なんとなく機械系の大学に進学する」と考えていた藤本さんを作業療法士の道へ進めたきっかけは、高校時代に所属していたバレー部でのケガだった。主将を務めていた藤本さんは、ケガで部活に参加できないことに責任を感じていた。それに加え「手術をしないと治らない」という医師の診断も心を暗くしていた。そんな気持ちを楽にしてくれたのが担当の作業療法士の方だった。人の気持ちをここまで楽にすることができる作業療法士という職業に興味をもち、本を読んで調べるだけでなく、自らアポイントをとって3つの病院を見学して周った。作業療法士になる道を決意した。

専門学校でスポーツなどの成人向け療法を学び始めていた藤本さんに、またも転機が訪れた。

2年生の時、大好きな祖母が脳卒中で倒れた。藤本さんは、大好きな祖母の病気を抱えながら過ごす姿を見て、健康寿命の大切さを考えるようになった。高齢者が元気に健康で生きられるようにサポートすることが自分の役割だとそのとき思った。

病院時代 将来の独立を決意

専門学校を卒業し、病院に就職した藤本さんは、卒業したばかりで知識や経験のない自分が一人前の作業療法士として患者さんに向き合う責任に恐怖を感じた。その重圧と恐怖に打ち勝つために、最初の3年間は、ほとんどの休日を勉強の時間に費やした。自費をつかって東京や大阪、沖縄にも学ぶために出向いた。知識と経験を積み重ね、患者さんのことを理解し自分なりの考えや思いを持つようになってきたとき、医師の指示のもとで治療を行うという病院ではなく、自らの判断のもとで高齢者に寄り添える道を探し、自分自身の可能性を広げたいと考えるようになった。考えた末、将来は「なんらかの方法で独立する」という今の目標につながっている。

未来に向けて

藤本さんは言う。「利用者さんが幸せになるためには、寄り添うスタッフが幸せになる必要があるんです。スタッフ一人一人のやりたいことや希望を仕事と擦り合わせていくことが重要だと考えています」

私たちがお伺いしたおあしすは、スタッフと利用者さんが本当に楽しそうに活き活きとプログラムを行っていた。おあしすのような空間や時間が地域にひろがっていくことで、藤本さんの夢である「健康寿命が長い社会」が実現していくことを実感できる時間だった。

〜取材を終えて〜

福島孝平
北九州市立大学 4年

「やりたいことが見つからない・特にない」という学生は少なくないと思います。

藤本さんの人生のお話はそんな学生にとって、やりたいことを見つけるための1つの方法を教えていただいたような気がしました。世の中には多くの課題があると思いますが、客観的に眺めているだけでは、自分が解決に向けて1歩を踏み出すことは中々できません。一方で、目の前のことに一生懸命に取り組んでいると、そこで起きる出来事は、人を動かすだけの大きな衝撃や危機感や感動を与えてくれるものなのだと思います。私も今、明確な目標は持っていませんが、焦らず目の前のことに一生懸命になっていようと、藤本さんのお話を聴いて思いました。