北九州 まなびとキャンパス"

夢リレー

うどん家 久兵衛 林 和久さん

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Profile
1962年生まれ、八幡中央高校出身、東洋大学卒業後、株式会社そごうに就職
2000年の株式会社そごうの倒産をきっかけに「津田屋 官兵衛」さんにて修行し
2007年に「うどん家 久兵衛」を創立
2009年に北九州市立大学地域創生学群夜間特別枠に入学
2011年には2号店となる「天ぷら 八兵衛」、その後3号店となる、「こがね食堂 七兵衛」をオープン
今年の3月に6年間の修士を終了し北九州市立大学を卒業
現在は、仕事と両立しながら科目履修生として北九州市立大学に通っている。

人生、今が一番楽しい
「昔から言っているし、多分これから先もずっと“今が一番楽しい”って言っていると思います。そんな今を続けるために、一生まなび続けるつもりですよ。」
と、楽しそうに話す林さんの目はキラキラと少年のように輝いていた。

現在 “今が一番楽しい”をずっと続けていきたい

 林さんの夢は、黄金市場を元気にすること。林さんが経営する“うどん家久兵衛”がある黄金市場は、高齢化が進み、年々シャッターの下りたままのお店が増えていっている。
「この地にお店を出して8年、お店は地域の方に喜んでいただき、おかげさまで繁盛している。今の状態を続けるには、この街が元気であり続けなければならない。そして自分がまちを元気にすることに関わることが、お世話になった街や人への恩返しにつながる」。
そんな思いで、林さんは、自分のお店のことだけでなく、地域のために頑張っている。林さんの役割は黄金市場から出なくても生活できるまちにすること。自分だから出来ること自分にしか出来ないことをしていきたい。そのために、地域の人に喜んでもらえることは何かいつも考えている。「お年寄りは、脂っこいものは体に悪いから食べない」はお役所的には正しいが、それは思い込み。「年配の方にとっては、食べることは大きな楽しみなんです。また“天ぷら”はうどんの具なんだけど、うどんではなく、ご飯を注文する方も少なくない。だったらてんぷら屋さんを作ったら喜んでもらえると思い八兵衛を出店したんだよ」。
大手企業のように膨大な時間とお金をかけての研究はできないが、お客様の声を社長の林さんが直接聞いてお客様のニーズにすぐに応えていくことはできる。「天ぷら屋を作ったら、今度は、焼き魚定食を頼むお客さんがでてきたから、七兵衛という定食屋を作ったんだ」。と3店舗目を出店。日々の客様との関わりの中でリクエストにどんどん応えていくのが林さん流。地域を見つめ、地域の人たちの声に耳を傾けることで、今まで気づかなかった一面に気づけることはとても楽しく、その発見を形にして地域に貢献していきたいと林さんは言う。それは100m四方の小さなエリアにこだわり情熱を注ぎ続ける林さんだからできること。
「今が一番楽しい!」をこの先もずっと続けるために黄金市場全体を元気にしていきたいという思いが林さんのエネルギーになっている。

うどん家 久兵衛 創立まで そごう倒産のどん底からの道のり

東京の大学を卒業し、ずっと続けていた剣道の腕を買われて日本一の百貨店“そごう”に入社。紳士服売り場の係長を務めていた。当時、“そごうの従業員”というだけで、業界では一目おかれる存在で、毎日のように接待をうけたり、100個以上のお中元が送られてくる、とても恵まれた環境だった。しかし、入社15年目、バブル崩壊と共にそごうも倒産。当時林さんは、38歳。妻子を養うために必死に仕事をさがしたが、何社回っても転職先を見つけることはできなかった。15年間そごうで培ってきたノウハウを、どこにも買ってはもらえなかったのだ。同僚の中には、未来を憂いて自ら命を絶ってしまう人もいた。林さん自身も「死んでしまいたい」と思ったことが何度もあったという。そんなつらい毎日を送る中、お昼ご飯は“津田屋 官兵衛”でうどんを食べるのが日課だった。小さいころからずっと好きだったうどん、その中でも特に“官兵衛”のうどんが大好きだった。そんなある日、「うどんで生きていけたらいいのになぁ」と思った。そごうで紳士服販売という仕事は、仕入れた商品をいかに売れるかを考えて並べることが仕事で、自分の手で商品に手を加えることはない。人生で初めて「自分で何かを作り出してみたい」という思いが芽生えた。仕事が全く見つからず、絶望の淵にいた林さんは、すがるような思いで店主に、「弟子にしてください!」と頼み込んだ。「無理にきまっているだろ!」と、相手にしてもらえなかった。しかし、「絶対諦めるわけにいかない!」と決意し、1か月間ほぼ毎日通い詰め、嘆願し続けた。そのうち弟子入りは認めてはくれなかったが、雑談はしてくれるようになった。少しずつ人間関係を築くことができ、ついには弟子入りが許された。その後、官兵衛での6年以上の厳しい修業を経て独立。2007年に“うどん家 久兵衛”を立ち上げた。

まなびとは  まなべば学ぶほど、もっと勉強したくなる

うどん家久兵衛が軌道に乗り、気持ちにも余裕ができ始めたころ、お客様や地域のために何かできないかと、“まちづくり”に関する講演会に参加するようになった。それまで、剣道で鍛えられた根性でいろいろなことに挑戦し乗り越えてきた。勉強していくうちに、情熱や勢いだけでなく、結果や成果につながる理由や原因を論理的に考えることができるようになってきた。そんな勉強したいという意欲がで始めたころ、北九州市立大学に地域創生学群の社会人コースが設立し、迷わず入学。大学では、教科書で習うことはもちろん、先生の経験談や、うんちくのある余談が、思考の幅を広げ仕事にも役に立った。学べば学ぶほど知識が増え、考え方や視野が広がることが面白く、もっと勉強したいという気持ちがどんどん増していった。

これから 未来にむけてのカウントダウン

“今を常に楽しむ”ことをモットーに、“今自分にできること”を探し、無理をせず一歩一歩、着実に夢に向かって歩みを進めている林さん。次に出す店舗は、今の黄金市場に必要なものを提供できるお店を出したいと、あらゆるジャンルを視野に入れて時期を待っているそう。今すでにある“久兵衛”“八兵衛”“七兵衛”というお店に加えて、数字を減らしていいって、最終的には“初心に戻る”という意味で“一兵衛”という名のお店を出すのが夢なんだとか。林さんは、自分の幸せと周りの人の幸せをシンクロさせながら、一日一日を楽しみ夢に向かって今日も歩み続けている。

取材を終えて

 インタビューに対しとめどなく溢れてくる、林さんの言葉からはただただ楽しいという感情を感じました。大きな困難に当たり挫けそうになったこともあったそうですが「くよくよ考えるのが嫌いなんだ。」と物事をポジティブに捉え突き進む姿は、小さな失敗でもうじうじ考え込んでしまう私にとって憧れです。今回お話を伺っていて、自分の気持ちを大切に楽しむって大事だなぁと感じました。きっと自分の気持ちさえあれば、どんなに時間がかかっても叶えられないことなんてないのではないかと少しこれからの毎日が楽しみになりました。きついことや辛いことこれから数えきれないほどありますが、乗り越えればいい思い出になると考えられればそんなに苦ではないのではないでしょうか。ピンチだって実はチャンスなのかもしれないって見方を変えるだけで世界が変わる気がしました。あんまり気負うことなく、自分にできることを楽しみながら成長していきたいと思います。素敵なお話ありがとうございました。