北九州 まなびとキャンパス"

夢リレー

シャボン玉石けん株式会社 完山 陽秀さん

1985年 遠賀郡生まれ
福岡大学 理学部卒業後
九州工業大学に就学、修士課程卒業
その後、シャボン玉石けんに就職
現在、シャボン玉石けん研究者として活躍している

【大切にしていること】自分本位にならならない

諦めない」先に見えるもの

「苦しくて、苦しくて、もうダメだと思うくらい苦しい。でもそこを乗り越えた先に初めて、自分がやっていたことの意味が見つかる。そうするとどんどん自分の“すきなもの”や“やりたいこと”が見つかる」
大学時代の実験で諦めなかったことが今につながっている。人はだれも壁にぶつかる時がある。その壁を乗り越えるか超えないかでその先の人生がかわるのかもしれない。

大学時代

勉強はすきでなかったけれど、物理と化学、そして生物が得意だった完山さん。大学を選んだ理由は生物が学びたかったから。学生生活は、サークルとバイトと勉強、すべてに手を抜くことなくやりきった。バトミントンのサークルでは、3役のうちのひとつ“会計”を務めた。大きなサークルでは、お金の管理も重要な仕事だったので、責任のある仕事をやってみたかったというのがその理由。伝統なのか、サークルの役員選挙は一風変わっていて大声で立候補の理由をサークルに所属する学生全員への演説が求められる。会計になるにも、まずは、会長選、副会長選に立候補しないと会計選に出場できない。「理由はよくわからなかったけど、とにかく会計をやってみたかったから、そういうものなんだと素直にルールを受け入れました」と完山さんはひょうひょうとお話される。やりたいことはとはとにかく我慢できない性分、でも、それをやるまでの障害がどんなに理不尽なものであっても、人にせえにせず受け入れることを完山さんはできる。

研究室の教授から任された“実験”、実験結果が出るまでのプロセスがあまりにも過酷で、その実験が終了したときは廃人のようになり、1週間の引きこもりになってしまった。なんとか部屋から這い出てきた時は、声がでなかったそうだ。その過酷な実験について「実験がどこにむかっているのか?どうやったら成果が出るのか?が全くわからなかったんです。薬品と薬品をまぜて、反応して結果が出るまで3時間。それを何回も、何回も繰り返す、出口の見えないトンネルのような研究室で孤独な戦い。でも、任されたからには諦めるという選択は考えませんでした。なぜなら、途中であきらめたら苦労してやったことが水の泡になって、必ず後悔すると思ったからです」。自分の置かれた環境を受け入れ、とにかく決めたことは、コツコツと積み上げていくことでその先に何かを掴み取っていくことを大学時代に学んだ。

シャボン玉石けん

大学院を卒業後シャボン玉石けんに5人の同期と入社。完山さんが所属するのは6人の仲間がいる研究開発室。シャボン玉せっけんは19 年、会社の業績はとても良かったときに、先代の社長は「一切添加物を入れない石けんにする」
ことを英断。会社の売り上げは一気にふっとび、利益は %減少、多くの従業員も失った。そんな「理想を追い求めることを諦めない」という誠実な社風と、完山さんの諦めずに前に進んでいく姿は、ぴったりと重なる。
昔は“答えがあるもの”がすきだった。でも今は、“答えのないもの”に挑戦することがすきに変わったそうだ。「答えのなりものと向き合うことは“好きだから”だけでは難しいです。“やり続けた先にはきっと何かがあると信じること”という勇気を持つことも大切です」と完山さんは考えている。

未来に向けて

“油”を極めて“石鹸マスター”になりたい。夢はシャボン玉石けんを世界に通じる会社にすること。
インドネシアでは泥炭が広く分布していて、開発に伴い引火し、広い範囲で燃えている。そこから発生する年間のCO2は日本の全排出量と同程度もあるらしい。水では鎮火しないその火を、シャボン玉石けんの、“泡”の技術で解決する研究に完山さんは携わっている。世界を救うことに完山さんは挑戦している。

“自分のちょっとすきなこと”や“興味のあること”がきっかけで何かを始めることは誰もが経験する。そんな“ちょっとしたきっかけで始めたこと”を大変だから、面白くないからといった理由で、途中であきらめず、コツコツやり続けることで“本当にすきなもの”が見つかることを完山さんから教えていただいた。

取材を終えて

私は何事も最後までやり抜くことがとても苦手です。“ここは踏ん張り時”と、自分の中でわかっていても、壁にぶつかりそうな時、ぶつかった時はいつも逃げてきました。そのせいか、今でも“本当に好きなこと、やりたいことは何なのか”自分自身で答えが出せていません。今回、完山さんのインタビューで、“壁にぶつかっても諦めずに最後までやり抜くことの大切さ”また、“その壁を超えた先にこそある、本当に自分が好きなこと、やりたいことが見つかる”という事を学ばせていただきました。壁を乗り越えることは悩みや苦しみがあり、簡単にできることではありません。ですが、自分自身と向き合う為にも、これからは壁と向き合う努力を重ね、乗り越えたからこそ得られる大切なモノを見つけ、自分を成長させていきたいと思います。
眞木奈津美
北九州市立大学3年