北九州 まなびとキャンパス"

夢リレー

三菱化学株式会社 野崎 晋也さん


1980年 大阪府生まれ
京都大学出身
その後、三菱化学へ就職
現在、三菱化学研究者として活躍している

“興味”× “志” × “努力”=世界で活躍する研究者

世界にインパクトを与えるような大きな結果を出すことができる研究者は、特別な才能があるだけではない。それよりも“自分がすきなこと”にチャレンジし、“常に社会をもっとよくしたい”という高い志を持ち、大きな夢に向かって“全力で走り続ける”人が偉大な研究者。

学生時代  世界を意識したきっかけ

勉強の中でも国語や歴史、考古学が好きな少年だった野崎さん。中学3年の15歳の時に、学校でもらった資料の中に“30年後に地球から石油がなくなる”という話が載っていた。それを見て、「石油がなくなったら人類は大変なことになるのではないか!?」と衝撃を受けた。そこから自ら世界に存在する危機について調べ、「世界のために自分ができることはなにか」を考え続けた。野崎さんは少年のころから、とても責任感の強い人だった。

“研究者として世界に貢献したい”と考えた野崎さんは、大学では生物学を専攻し、微生物について研究をしていた。大学では、それまでの人生で出会ったことがないバケモノかと思うほど頭の良い同級生と出会い、大きな影響を受けることになる。それを“自信をなくす”というマイナスに受け止めるのではなく“自らの強みを知り、努力するしかない”というプラスのエネルギーに変えることが、野崎さんにはできた。“そんなときに、前向きにさせてくれ、踏ん張るための精神安定剤でありバイブルだったのは、日本に名を残した歴史上の人物が主人公の小説だった”そうだ。

入社~現在  継続のエネルギーは志をもつこと

 大学院卒業後は、化学やエネルギーについての研究をしようと考えた。
それが社会の基盤であると考えたからだ。そして、研究だけではなく、自分の研究がちゃんと世の中に役に立つことにつながるようなところで働きたいと思い、大手化学メーカーである三菱化学へ入社した。

入社後10年のあいだに、沢山の機会やチャンスをもらったが、仕事は想像以上に厳しく、困難なことに直面することも多かった。同じ研究所には、通勤時間を削るために会社に一番近いマンションに引っ越すなど“ムチャクチャ研究がすき”という人が大勢いた。そのようなあふれんばかりの情熱と集中して研究に没頭する姿にしばしば自信を失った。このときは研究者としての差を見せつけられたが、「ここで辞めてしまうと、もう二度と研究者としての道に戻ることはできない」という危機感をエネルギーにして、研究に情熱を注ぎ続けた。気がつけば、最初にいた同期5人の中で研究職として残っていたのは野崎さんただ一人だった。「好きじゃないと仕事は続かない。だけど、好きなだけじゃだめなんです。社会のためになっている実感がなければ」。仕事に本気で取り組むには、半分は、“好きだから”そしてもう半分は“社会に貢献する”という志が必要だと野崎さんは考えている。

では“貢献”とはどんなことなのだろう?

現在、野崎さんはタンパク質の精製の研究を行っている。薬品を作るには、高純度のタンパク質が必要で、その開発はとても難易度が高く、簡単に開発できるものではない。競争も激しい「自分の研究をもって、日本のくさびを打ち込めるような製品を生み出し、海外勢との戦いに勝利したい。そしてそのことで日本、さらには世界に貢献していきたい」と野崎さんの眼差しは世界と未来を見据え、キラキラと輝いていた。

未来  全力で走り抜ける

15歳のときに「人類のためになにかしたい」と思って20年の歳月が流れた。大学時代に日本に名を残した先人に心を焦がした。そして「温暖化、資源の枯渇など着実に進む危機に向き合い地球を救いたい」という情熱を持って研究を続けている野崎さん。きっと後世に“名が残る”ことを今回、話をお聞きして実感した。最後に野崎さんは、「研究者はアスリートと同じで、全力で走ることができる時間は限られている。でもたとえアスリートとしての研究者でなくなったとしても、志さえあれば、必ず自分にしかできない役割が見つかるはずだと思う」と、語ってくださった。

取材を終えて

“社会のために”“後世に名前が残るような仕事がしたい”など、常に志を持ち、大きな夢に向かって全力で走り続けている野崎さん。志や目標がなく、毎日をなんとなく過ごしている私にとって、野崎さんのインタビューは“このままではいけない、自分も何か志をみつけなくては”と、改めて自分自身について考え直すきっかけをいただくことができました。“今の時間を大切に”というメッセージから、今しかないこの時間を大切にし、“今の自分にできること”“今自分がやるべきこと、やりたいこと”を見極める大切さを学びました。これから先社会に出てからも、全力で走り続けることができるかっこいい人になるために志を持ち、それを達成するために日々努力を重ねていきたいと思います。

眞木奈津美
北九州市立大学3年